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同性愛者の私がたどった「ムダ毛処理」の遍歴

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Rebecca Hendin / BuzzFeed

私の思春期は、ムダ毛とのつらい戦いで幕を開けた。年ごろになるまでは、屈託なく幸せな日々を送っていた。悩みごとと言えば、カールでもつれたロングヘアをきれいにとかすにはどうしたらいいのか、ということだけ。けれども、やがて脚に毛が生え始めた。次にわきの下、陰部。それに伴って、面倒があれこれ生じてきた。

まずは、ムダ毛を処理する方法を身につけなくてはならなかった。どの方法がいいのか? 脱毛器は本当に脱毛ワックスよりもよくないのか?かみそりで剃ると濃くなるというのは本当か?私は不安でいっぱいだったし、わからないことだらけだった。太もものムダ毛も処理しなくてはならないのか?(「しない方がいい」と言う友だちもいれば、「絶対にした方がいい。そうしないと不衛生だ」と言う人もいた。誰もが自信たっぷりに持論を述べたけれど、うんざりするほどややこしい問題だった)。

事態をさらに複雑にしたのが、Iライン(大陰唇・小陰唇の周囲から肛門の周囲にかけてのライン)のムダ毛をどう処理すべきかということだった。「ずぼら」だとも「ふしだら」だとも思われないような微妙な状態にしなくてはならない、と言ったのは、当時の仲良しグループだ。そして誰もが、その2つは紙一重であることをわかっていた。

私は、ムダ毛の処理に多大なる時間と精神力を費やした。できることはすべてやってみた。まずは、初めて脱毛サロンの予約を入れた。そこは言ってみれば、最強最悪の地獄のようなところだった。サロンは本来、すばらしい場所であるはずだ。身も心もとろけるようなマッサージをしてもらったり、自らの美しさに自信を抱いたりすべきところなのに、なぜあれほど恐ろしいまでの罪悪感を引き起こす場所になり得るのか、まったく理解に苦しんだ。

エステティシャンはいつでも、ティーンエイジャーだった私の脚のムダ毛を注意深く観察したあと、不満げに首を横に振った。そして、頻繁に次のようなことを口にした。「確かに濃いですね」「前回の処置の後にかみそりで剃りましたか? はっきりわかるりますよ」。おまけにしょっちゅうこう言った。「埋没毛があります。週に1回は角質を除去しなくてはいけませんね。え?やっているの?だったら、週2回にしてみてください。角質除去は大事です!」。あれほど苦労して丁寧に角質を除去したというのに。まるで毎回「女磨き」の試験に落ちたような気分になった。

私はさまざまな脱毛ワックスに手を出した。ホットワックスにコールドワックス、電子レンジで温めて使う火傷するようなタイプ、ワックスを「ラクに塗れる」キャップ付きのロールオンも試した(ただし、キャップが外れると中のワックスが全部こぼれて体にかかってしまった)。「画期的な脱毛方式で痛みがない」と謳っていた脱毛器にも手を出した。脱毛クリームも試したが、ひどい臭いがした。

さんざん苦労したにもかかわらず、ムダ毛は追い打ちをかけるように、ふたたび生えてくる。納得できない!情報収集の結果、私の場合、剃るよりワックスの方が効果的だという結論に達した。ただし問題があった。毛が少し生え戻ってからでないと、ムダ毛の処理ができないのだ。ところが、たとえ数日であろうとも、女性の脚にはムダ毛が生えていてはいけないのが世の常識だった。

ではどうしたらいいのだろう?この問題は私を特に不安にした。なぜなら、ティーンエイジャーである私にはボーイフレンドが何人かいて、彼らに脚を見られる可能性があったからだ。そのころの私は、異性愛者になろうとしていた(先に言ってしまうと、それは無駄な努力だった)。どんな状況でも完璧であることを目指したかった私は、忙しいエステティシャンの予約をうまく取る方法を見つけ、脚のムダ毛が脱毛できるくらい十分に伸びたころに処理してもらえるよう、配慮しなくてはならなかった。

もちろん、恥ずかしくなるほど伸ばしてしまうわけにもいかない。デートの前にワックスでムダ毛を処理することは欠かせないのに、直前ではだめなのだ。自然に逆らってムダ毛を引っこ抜けば、それによって傷を負った毛穴が赤く点々と残り、目についてしまう。いずれにせよ綱渡りだった。そんな状況を幾度となく優雅に切り抜けた私には、メダルが授与されるべきだと思う。

でも今ならわかる。「どの脱毛法を選ぶべきか?」と考えるより、こう自問自答すればよかったのだ。「こんなに大変な思いをする必要はあるの?」と。

とはいえ当時は、そんなふうには考えられなかった。友だちやテレビ、雑誌が定めた基準によれば、女性の肌は、海水に洗われた小石の表面のようにスベスベしていなければならなかったのだから。実際、あるがままの状態にある女性の脚を目にしたことは一度もなかったので、自分はことのほか不運な人間なのだと思っていた。今は画像共有サイト「Tumblr」で毛深い脚を自慢する女性の写真が並んでいるのを見ることができる。でも、残念ながらあのころはまだ、そのようなものは登場していなかった。それを見ていたら、私はきっと大きな安堵のため息をつくことができたはずだ。

時々、毛がほんの少しだけ生え戻りつつあるところをボーイフレンドに気づかれた。彼らは冗談交じりで、あるいは不思議そうに、自分の考えを口にした。悪気はまったくないにせよ、心の底では非難していたのだ。君は女性らしさを維持できていない、と。ゆえに、ムダ毛問題に関してはなかなか気が抜けなかった。


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